モクモク手づくりファーム
 昨年、ネイチャークラブ会員さんの米作りイベントで、アイガモ農法が始まりました。 担当になった私自身も、その年の新入社員で、はじめて任された仕事でした。右も左も何にもわからぬまま、始まったアイガモとの米作り。只今、2年目の収穫の秋を迎えているところです。
ところで、アイガモ農法とは、アイガモ水稲同時作といって、田んぼで泳ぎまわるアイガモのおかげで、無農薬で元気なお米ができるのです。それと同時に、秋にはこれまた元気に育ったアイガモを肉として食べられるという、一石何鳥にもなる農法です。ド素人の私でも、おいしいお米ができました。「一鳥万宝(いっちょうまんぽう)」と表現されるのも納得できる、すばらしい農法です。
 さて、その素晴らしい働きをしてくれるアイガモたちは、稲が実ると同時に田んぼから引き上げ、肥育します。ついに今年は、米作りイベントに参加する家族さんや、一般のお客さんと一緒に、「さばいて食べる」イベントを試みることにしました。半年間、米作りとアイガモの世話をしてくれた家族さんは、アイガモを食べるまでの話し合いや準備などで、心の準備を進められたのですが、10月21日「アイガモありがとうの会」では、初めてアイガモに出会う一般の人々が、いきなりさばいて食べることになります。果たしてそれは可能なのだろうかと、内心不安に思っていました。それでも、私自身が昨年さばいて食べた経験から、このイベントでは、きっと、「いただきます」や「命のありがたさ」が実感できるはずだと信じ、当日を迎えたわけです。
 そして、当日、「ありがとうの会」に参加してくれたのは、なんと二組・・・たった5名の方でした。一組は、古くからモクモクに通ってこられた宮谷さん夫妻。そして、もう一組は、最近モクモクに熱心に通いはじめた、知念さん母&娘 (小3美礼・小1礼奈)。  はじめに、アイガモと対面し、今までのアイガモが田んぼで育った過程を伝えました。 そして、アイガモを食べることについて、みんなで話し合いました。子どもたちは、かわいいアイガモを実際に目にして、これから「食べる」ということに、現実味が湧いてきたらしく、「かわいそうだから、食べたくない」「殺すってどんな怖いことするの?」という不安な気持ちになったようでした。大人ですら、日常いろんな食べ物を豊富に口にしていますが、それが野菜でもお肉でもどうやって生きていたものか、どうやって食材になったのか、見ることも経験することも少ないのですから、当然の反応だと思います。
 でも、田んぼで育ったアイガモは、『ペットではなく、食べられる役割を持った家畜であること。そして、春から今ままで、アイガモ自身も、雑草や虫やおたまじゃくしなど、いろんな生き物を食べてきたこと。田んぼのめぐみをたくさん食べてきたアイガモの体は、田んぼのめぐみがぎゅーっとつまったものなのだということ』を、伝えました。その恵みは、今度は私たちの身体の中で、生きていくのだと。
すると、美礼ちゃんが一言。「じゃあ、人間は何に食べられるの?」
 みんなで考えました。「アイガモを食べる」ことをみんなで考えることは、「人間ってなんだろうか」と見つめ直すことにもつながっていました。その場で、答えは見つかりませんでしたが、それぞれの心の中に、問い続けていく課題になったと思います。
 結局、子どもたちには、さばく過程は、自分の気持ちによって、「見ない・見る・参加する」を自由に決めてもらうことにして、アイガモを食べることに同意してもらいました。 「かわいそう」「気持ち悪い」「怖い」そんな想いで、アイガモをさばくのは、アイガモに申し訳ない。3羽の命をいただき、さばき、料理するには、感謝と真剣な想いで受け止めなくてはいけない。そんな気持ちを共有できたのではないかと思います。
 アイガモの命を全うするために、参加者が一丸となって挑んだイベントで、やっと仕上がったアイガモ料理を食べている5人は、気がつくと、まるで家族になったかのように、和やかな雰囲気になっていました。 驚くほどおいしいアイガモ料理に、大人も子どもも「おいしいおいしい」を連発して、いつもよりたくさん食べ、いつもより、たくさん感謝していただきました。
「アイガモのからだのなかにパイプがあった」(礼奈ちゃん)
「物の大切さを教えるよい企画だと思います。アイガモも120%の“生”を全うしたと思います」(春さん)
「わたしたちはいきもののいのちをもらってる」(美礼ちゃんの感想より抜粋)

 厳しい思いをしながら挑んだイベントでしたが、こうして、参加したみなさんの笑顔と言葉をみると、心底やってよかったなぁと感じています。来年以降も続けていきたい・・・と決意を新たにする、大切なイベントとなりました。
アイガモだけでなく、いろんな食べ物の命を感じ、いつも「ありがとう」「いただきます」が心からいえる食卓になりますように。


「いつも食べている鶏肉、
こうやってできるんだね。」
子供達の顔も真剣。


アイガモを使って、
炊き込みご飯、鴨汁、鴨のタタキ、
肝煮をつくりました。


命のありがたさを実感しながら
3羽の命をいただきました。


初めはちょっと複雑な想いだった 礼奈ちゃんも、
ご飯をもりもり3杯以上食べ ていました。
いつもよりたくさん食べ、
たくさん感謝した1日でした。

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